2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11832
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 俊司 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ゲージ重力対応 / AdS / CFT |
Research Abstract |
1、有限密度、温度におけるゲージ理論の相構造の研究をゲージ重力対応を用いて行った。まず化学ポテンシャルがゼロの場合、低温領域においてはメソンに質量ギャップが存在し、安定な粒子として存在する。一方で高温領域においてはメソンの質量ギャップは消滅し、不安定な粒子としてのみ存在する。これら二つの相は一次相転移により移り変わる。これを重力理論の立場からみると、低温領域においてはAdS時空内のD-ブレーンが完全にブラックホールの外側に存在しているのに対し、高温領域においてはD-ブレーンがブラックホールのホライゾン内に落ちている状況に対応している。次に、このシステムに化学ポテンシャルを導入することを考える。これはD-ブレーン上にU(1)ゲージ場を入れることに対応する。この場合、化学ポテンシャルの大きさに関わらず、D-ブレーンは全ての温度領域においてブラックホールに吸い込まれる事が分かった。また化学ポテンシャルが小さい領域では化学ポテンシャルがゼロの場合と同様に一次相転移が存在する。その他、非一様な相の出現や新たな相転移等が存在することを発見した。 2、ゲージ・重力対応において、ゲージ不変な演算子は中心的な役割を果たす。今年度は特に2次元にサポートされたsurface演算子について研究を行った。ゲージ理論サイドではこの演算子はdisorder演算子として振る舞い、ゲージ場の特異点として定義される。まずこの演算子に双対な超重力解を求めた。また、ゲージ、重力理論の両サイドでsurface演算子を特徴づけるパラメータがどのようにマップされるかをつきとめ、S-dualityによる変換が完全に一致することを発見した。またゲージ理論の対称性の増幅による特異点の発生が、重カサイドではconical singularityとして現れることが分かった。
|
Research Products
(3 results)