2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11836
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂木 信宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Laser Induced Incandescence / Black Carbon / Elemental Carbon / Soot / Mixing state of aerosol / Aerosol Particle Mass Analyzer / Atmospheric chemistry / Aerosol Science / Technology |
Research Abstract |
1.大気中のブラックカーボン粒子の質量を定量的に測定するための、レーザー誘起白熱法の新しいキャリブレーション方法を世界で初めて導入した。このキャリブレーション方法は、エアロゾル質量分級器とエアロゾル移動度分級器を直列につないだ系により、狭い分級幅で特定の質量のエアロゾルを分級することができる。このキャリブレーション方法を導入することにより、世界で初めて高時間分解(〜10秒)でブラックカーボンの質量分布のデータを導出することが可能となった。 2.大気中のブラックカーボンはしばしば非吸収性エアロゾル成分に被覆されている。したがらて、レーザー誘起白熱法による計測信号の、非吸収性被覆によって受ける影響を定量評価することはきわめて重要である。この被覆による影響を定量評価する実験を行うために、エアロゾルを蒸気凝結によりコーティングする装置を独自に開発した。この装置では、内核直径と外殻直径を自由に選別できる。このように、定量的な二成分内部混合粒子の生成に成功した研究例は数少ない。このエアロゾルコーティング装置を用いて、有機炭素で黒鉛を被覆した内部混合粒子を生成し、それをレーザー誘起白熱法で計測する実験を行った。その結果、黒鉛の定量は、被覆の成分、被覆の厚さにほぼ無関係であることが明らかどなった。また、散乱-白熱時間差というパラメータが被覆の厚さの関数になっており、散乱-白熱時間差により、大気中のブラックカーボンの被覆の厚さを定性的に計測できることを示した。 3.2004年3月に行った航空機観測で取得した観測データに、後方流跡線解析を適用して、ブラックカーボンの質量分布、被覆状態が、輸送時間の経過とともに変化する様子を定量的に解析した。ブラックカーボンの質量分布が凝集過程で増大していく様子、また、非吸収性エアロゾル成分で被覆されていく様子を世界で初めて観測から示すことに成功した。
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Research Products
(1 results)