2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森江 孝明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 四極子秩序 / 重い電子 |
Research Abstract |
今年度は4f電子系の軌道(四極子)の自由度に関する特異な物性を研究するに当たって、Pr系化合物PrPb_3に着目した。 この物質は約0.4Kで軌道の自由度に関連した四極子秩序を起こすことが分かっており、その構造は単純な整合周期を持たないといったこれまでにない多重極秩序を示す。 長周期の四極子秩序相で電子状態がどのようになっているかを解明するため、転移温度以下の極低温領域において、比熱、磁化、電気抵抗の測定を行った。希釈冷凍機温度での磁場下における電気抵抗測定は、我が研究室においてこれまで測る手段はなかったが、今年度でその装置の立ち上げを行い、データを得るに至り、重い電子状態を示唆する興味深いデータが得られた。 比熱測定の結果からは、転移温度より十分低い温度領域で温度に比例する項の係数が大きいことを見出し、これからこれまでにない四極子の自由度に関連した重い電子状態の可能性を見出した。 四極子の長周期構造下での電子状態の情報を得たのはこれが初めてであり、四極子の自由度に関連したスクリーニングの可能性も考えられる。今年度後半の方はこの物質の希釈系にも着目し測定を行いデータを得ている。 これらを受け、この物質の更なる知見を得るため、また他の興味深い磁性化合物の詳細な研究を行うためにも極低温温度領域で磁場中における比熱測定にも着目し始め、試運転を行う直前まで至っている。 また、当初の予定通りパルス磁場下での超音波測定にも着手し、実際に試運転を何回か行うに至っている。
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