2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森江 孝明 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 四極子秩序 / 重い電子 |
Research Abstract |
今年度は前年度に引き続き4f電子系の軌道(四極子)の自由度に関する特異な物性を研究するに当たって、Pr系化合物PrPb_3とそのLa希釈系、並びにPrMg_3に着目した。 前年度のPrPb_3の極低温における比熱、電気抵抗測定において軌道の自由度に関連した重い電子状態の可能性を示唆する実験結果を得たが、今年度は秩序が起きない希釈系及びPrMg_3において、軌道の自由度に関する低エネルギー励起の研究を行った。 長周期四極子秩序を起こすPrPb_3においては比熱、電気抵抗においてフェルミリキッド的な振る舞いが観測されたが、Laで希釈することにより秩序を抑制した系では、比熱におけるC/Tが非常に大きな値を残し、また電気抵抗においてはノンフェルミリキッドの振る舞いが観測される事を明らかにした。軌道の自由度が支配する低エネルギー励起の普遍性を明らかにするため、18年度の終わり頃から更にPrMg_3に着目し、現在その基礎物性測定を行い、今年度も引き続き継続している最中である。 また、当初の予定通りパルス磁場下での超音波測定装置も実際にサンプル(CeB_6)をセットし、実験を行い、データを得るに至っている。19年度はこれまでの測定を通して明確になった実験的な問題点の改良を行い、他の軌道の自由度を有するPr系化合物も行う予定である。これに加え現在一軸圧下における超音波測定を試行している最中であり、この実験手法は磁気構造においてドメインが問題になるような磁性化合物の研究に非常に役に立つと思われ、CeB_6の希釈系の秩序相についても調べる予定である。
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