2006 Fiscal Year Annual Research Report
SDSSクエーサーを用いた宇宙の最大構造の探求と、クエーサーの形成・進化の解明
Project/Area Number |
05J11839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢幡 和浩 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 銀河系ダスト / 宇宙の大規模構造 |
Research Abstract |
現在、宇宙の大規模構造を非常に高い精度で測定し、宇宙の75%を占めるダークエネルギーの状態方程式を決定しようとする観測計画が世界中で進められている。しかし、そのような非常に高い精度を達成する為には、銀河系ダストによる減光を非常に高い精度で補正する必要がある。本研究では、Sloan Digital Sky Survey(SDSS)でカタログ化された測光クエーサー及び測光銀河の個数面密度を測定する事により、現在最も信頼されている銀河系ダストマップ(Schlegel et al. 1998)の精度を検証した。その結果、減光が非常に弱い領域において、銀河の面密度とマップに示された減光量との間に正の相関があることを発見した。これは、この銀河系ダストマップに何らかの誤差が存在している事を示している。しかしその一方、クエーサーの面密度と減光量との間にはそのような相関は見いだされなかったため、マップの誤差が銀河の個数面密度を反映するという、単純な描像は誤りである事が判明した。 元々この銀河系ダストマップは、ダスト減光量を直接求めたものではなく、ダストの遠赤外線での放射量からダスト量を予測したものである。その事実に注目しつついくつかの解析を行う事により、銀河系ダストマップにはSDSS銀河自身からの遠赤外線が混入している事による誤差が存在する、という結論を得た。 本研究で発見された銀河系ダストマップの誤差は、宇宙の大規模構造そのものと相関があるため、大規模構造解析に深刻な影響を与える可能性があり、今後注意が必要となる。
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