2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ/重力対応におけるデュアリティの研究と、そのクォークの閉じ込めへの応用
Project/Area Number |
05J11845
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 晶弘 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子論 / 超弦理論 / AdS / CFT対応 |
Research Abstract |
前年度までの研究によって、R電荷が十分大きいオペレータに対するホログラフィック二点関数を定義することに成功したが、本年度はそれを有限温度系へと応用する試みを行った。 クオークの閉じ込めに向けたAdS/CFT対応の応用という観点において、有限温度における対応関係を確認することは非常に重要である。なぜなら、有限温度にすることによって、AdS/CFT対応において重要な役割を果たしている共形対称性や超対称性が破れるからである。ところが、ホログラフィーがAdS/CFT対応の本質と考えるならば、それらの対称性がなくてもゲージ理論と重力理論との間に対応関係が成り立っている可能性がある。今年度の研究では、上に述べたホログラフィック二点関数を重力側で計算することによって対応する有限温度の場の理論のR電荷が大きいオペレータの二点関数が持つべき性質を予言することに成功した。特に、近距離におけるゼロ温度からの摂動を計算することによって、通常の有限温度の場の理論の摂動論から得られる性質とは全く異なった性質を見つけることができた。この結果は、有限温度において重力理論とホログラフィックに対応する場の理論は温度の摂動論が有効でない相に属しているというwittenの解析と無矛盾である。さらに、球面上の有限温度のゲージ理論から導かれる高温相のエネルギーの期待値とホログラフィック二点関数の間にある数値的な一致を見つけることができた。もし、この一致に何らかの物理的な解釈をつけることに成功すれば、有限温度におけるAdS/CFT対応の定量的な比較を初めて行ったことになる。ただし、その詳細については現在研究中である。
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Research Products
(1 results)