2005 Fiscal Year Annual Research Report
大電力マイクロ波発振源を用いた実験研究によるマイクロ波推進器の設計手法の開発
Project/Area Number |
05J11856
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 靖久 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロ波ビーミング推進 / ジャイロトロン / プラズマ / 衝撃波 / 運動量結合係数 |
Research Abstract |
地上から大電力マイクロ波ビームを用いて推進エネルギーを供給するマイクロ波ビーミング推進は低コストの宇宙輸送システムとして期待されている。繰り返しパルス形のマイクロ波ビーミング推進では、大電力のパルス上マイクロ波によって気中放電を発生させ、これに伴う衝撃波が作り出す高圧を利用して推進力を発生させる。本研究では、プラズマと衝撃波によるマイクロ波ビーミング推進器の推力発生メカニズムを明らかにするとともに、その設計手法を確立することを目指している。 気中放電によるプラズマ波面は、マイクロ波を吸収しながらビーム上を伝搬する。投入エネルギーを有効に利用するためビーム軸と平行な円管を持った推進器モデルを設計し、その推力測定を行った。測定の結果,投入電力あたりの発生推力を示す運動量結合係数について、円管の長さとマイクロ波のパルス幅について最適条件が存在することが示された。また、プラズマ波面の伝播速度が超音速となる条件で高い運動量結合係数が得られた。これはプラズマ波面が超音速で伝搬することで強い衝撃波が生じたためと考えられる。 円管内における衝撃波の伝搬および、その推力発生プロセスについて、衝撃波管モデルが適用できると考えられる。衝撃波管モデルにおいて、衝撃波伝播によって管内に一定の高い圧力状態が実現される。衝撃はが管出口に到達し、その後管出口に発生する膨張波が管端に到達するまでその圧力は維持される。推進力は圧力とその維持時間の積によって決定される。本研究においても、推進器内部の圧力履歴測定と衝撃波の伝播速度の測定を行った。その結果、衝撃波と膨張波の伝搬する時間中、推進器内では一定の圧力が維持されることが確認された。また、衝撃波はプラズマの伝播速度と同じ速度で伝搬することが確認され、エネルギー変換過程においてプラズマと衝撃波の相互作用が大きな役割を持つことが示唆された。
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