2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11857
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠原 裕一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 重い電子系超伝導体 / 超伝導ギャップ構造 / 熱伝導率 / 渦糸状態 / 準粒子輸送特性 |
Research Abstract |
1.重い電子系超伝導体URu_2Si_2の超伝導ギャップ構造の決定 CeやUなどを含む重い電子系超伝導体においては,しばしば超伝導と他の秩序(通常,強磁性や反強磁性といった磁気秩序)が共存する。その中でもURu_2Si_2は例外的な物質であり,「隠れた秩序」と呼ばれる非磁性の秩序と超伝導が共存する.しかしながら超伝導に関しては超伝導ギャップがゼロとなる,いわゆるノードをもつ非従来型の超伝導を示すこと以外はほとんど分かっていなかったと言ってよい.この超伝導の発現機構を明らかとする上で,クーパー対に働く引力相互作用と密接に関係する超伝導ギャップ構造が最も重要である.しかしながら,ほとんどの非従来型超伝導体のギャップ構造は実験的な困難さゆえ未解明のままである.研究代表者は超伝導ギャップ構造に敏感な熱伝導率を30mKまでの極低温において磁場を回転させながら測定可能なシステムを構築した.これは世界的に見ても例のないシステムであり,転移温度が1K程度の超伝導体でもギャップ構造の決定が可能となった.URu_2Si_2において上述のシステムを適用し,熱・電子輸送特性を測定した.その結果,隠れた秩序状態において2バンドの補償半金属的な電子状態になっており,2つのバンドで異なるノード構造をもつという,前例のないギャップ構造をとることが明らかとなった.これは隠れた秩序下の超伝導への理解を大きく進展させるものである. 2.超純良URu_2Si_2における渦糸状態および準粒子輸送特性の研究の研究 電子・熱輸送特性を過去最高純度のURu_2Si_2単結晶の渦糸状態において詳細に調べた結果,1K以下において渦糸格子の融解を示すことが明らかになった.これまで渦糸格子の融解は高温超伝導体でしか確立されていないことを考えると異常な結果である.また,渦糸状態において準粒子のブロッホ状態が形成されている可能性がはじめて示唆されている.
|
-
[Journal Article] Full-gap superconductivity with strong electron correlations in the β-pyrhochlore KOs_2O_62008
Author(s)
Y.Kasahara, Y.Shimono, T.Kato, K.Hashimoto, T.Shibauchi, Y.Matsuda, S.Yonezawa, Y.Muraoka, J.Yamaura, Y.Nagao, Z.Hiroi
-
Journal Title
Physica B 403
Pages: 1068-1070
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-