2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11868
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 宏平 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化物デバイス / 抵抗変化メモリ / 二元系遷移金属酸化物 / 酸化物薄膜 / ヘテロ接合 / モット絶縁体 / サーミスタ |
Research Abstract |
金属/二元系遷移金属酸化物/金属の接合構造における抵抗メモリ効果に関する研究 Pr_<1-x>Ca_xMnO_3などのペロブスカイト型酸化物薄膜における電場誘起抵抗スイッチング現象が報告されて以来,抵抗メモリ素子(Resistive-RAM)の実現に向けた研究が活発になっている.本研究では,応用上有望視されながらもその動作機構が未解明である,二元系遷移金属酸化物を金属で挟み込んだ接合構造における抵抗メモリ効果のメカニズム解明を目指した実験を行っている.著者は昨年度までに,通常の積層型素子とは異なる平面型の素子構造を有するCuO抵抗メモリ素子を作製し,動作領域の表面観察を可能にすることで,「抵抗メモリ効果の開始と共に酸化物バルク領域にフィラメント構造が形成される」ことなどを明らかにしてきた.本年度も引き続き,平面型素子の利点を活かした実験を行った結果,フィラメント構造内での金属-絶縁体スイッチングが抵抗メモリ効果を産み出していることが新たに分かった. 1,平面型抵抗メモリ素子作製法の確立 前年度に作製したCuO膜ベースの素子以外に,CoO膜,CuO単結晶を用いた抵抗メモリ素子の作製を行い,メモリ動作開始時のフィラメント構造の形成が普遍的な現象であることを明らかにした. 2,各抵抗状態における抵抗-温度依存性の評価 各抵抗状態の抵抗温度特性を四端子法によって2Kから400Kの範囲で評価した結果,低抵抗状態では低温まで金属的伝導を示した一方で,初期絶縁体状態及び高抵抗状態では半導体的熱活性伝導を示した.前年度の結果と併せて考察することで,フィラメント構造内での金属-絶縁体スイッチングが抵抗メモリ効果の本質であることが分かった.また,低抵抗状態から高抵抗状態へのスイッチングが昇温過程,即ち熱によっても起こることを発見し,サーミスタ応用への可能性を示した.
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