2006 Fiscal Year Annual Research Report
劣モジュラ性をもつ最適化問題に対するアルゴリズムの開発とその応用
Project/Area Number |
05J11881
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永野 清仁 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 組合せ最適化 / 劣モジュラ関数 / 多項式時間アルゴリズム / NP-困難性 / 近似アルゴリズム / マトロイド / 凸計画問題 |
Research Abstract |
劣モジュラ関数は,離散変数を取扱う組合せ最適化の分野において,基本的かつ重要な関数である.本研究は理論的な側面と実問題への適用の両方を主眼にいれ,劣モジュラ構造をもつ最適化問題に対するアルゴリズムの開発とそれらの応用を課題としている. 基本的な組合せ最適化問題である施設配置問題や集合カバー問題に対し,劣モジュラ構造を組み込むことで自然な拡張が可能である.劣モジュラ性を組み込んだ離散的構造を持つ様々な最適化問題に対し,本研究ではスムーズ最小化手法(Nesterov,2005)と劣勾配情報を用いた最適化手法(Nesterov,2005)の2つの異なるアプローチをサブルーチンとして用いた近似アルゴリズムを設計した.また,問題の固有の性質を利用した,さらなる高速化手法についても提案している.また本研究では劣モジュラ関数最小化の実用的に高速な解法の設計についても提案している.この研究はスイス連邦工科大学チューリッヒ校のFabian Chudak氏との共同研究であり,本成果はSIAMとACM共同開催の国際会議SODA2007(2007年1月)に論文が採択されている(本国際会議の採択率は3割前後). 基多面体は劣モジュラ関数に付随して定まる多面体であり,その上での凸最適化問題は多くの応用を持つ.本研究ではまず変数分離型凸関数の最小化問題に対する分解アルゴリズムにより最適解の有理数性のシンプルな十分条件が得られることを示し,辞書式最適基問題(藤重,1980)と劣モジュラ効用配分問題(Jain-Vazirani,2007)の等価性などの性質を導いた.また,パラメトリック劣モジュラ関数最小化を用いた,分解アルゴリズムの理論的に高速な実行手法を提案した.さらに,あるクラスの非変数分離型凸関数最小化が多項式時間で解けることを指摘した.本成果は国際会議IPCO 2007(2007年6月)に論文が採択されている(本国際会議の採択率もまた3割以下).
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