2005 Fiscal Year Annual Research Report
劣モジュラ性をもつ最適化問題に対するアルゴリズムの開発とその応用
Project/Area Number |
05J11881
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永野 清仁 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 組合せ最適化 / 劣モジュラ関数 / モデリング / 多項式時間アルゴリズム / NP-困難性 / 近似アルゴリズム / マトロイド / 凸計画問題 |
Research Abstract |
劣モジュラ関数は,離散変数を取扱う組合せ最適化の分野において,基本的かつ重要な関数である.本研究は理論的な側面と実問題への適用の両方を主眼にいれ,劣モジュラ構造をもつ最適化問題に対するアルゴリズムの開発とそれらの応用を課題としている. 基多面体は劣モジュラ関数に付随して定まる多面体である.本研究では基多面体上での変数分離型の凸関数最小化問題に対する高速なスケーリング法を用いた近似解法を与え,また目的関数が特に2次関数の場合に厳密解を求められることを示した.この問題は辞書式順序で最適なネットワーク計画を与える問題(Megiddo,1974)を,最近では経済学における市場の均衡価格を求める問題(Jain-Vazirani,2005)を特殊ケースとして含むことがわかっている.この問題に対するアルゴリズムの高速化や,待ち行列モデルを中心としたさらなる応用に関する研究を岩田覚氏とブリティッシュ・コロンビア大学のThomas McCormick氏と共に進めている. 基本的なNP-困難問題である施設配置問題や集合カバー問題は,応用範囲の広さなどもあり多くの研究が世界的になされている.これらの問題に対し劣モジュラ構造を組み込むことで自然な一般化が可能であり,現実の問題をより詳細にモデル化できる.本研究ではNesterov(2005)による連続最適化手法を離散的な変数を扱うこれらの問題に適用することで,ペナルティを含む施設配置問題などに対して高速な近似アルゴリズムを与えた.異なる連続最適化手法を用いたアプローチによるアルゴリズムのさらなる高速化や,より多くの組合せ最適化問題に対する本研究の手法の適用に関して,スイス連邦工科大学チューリッヒ校のFabian Chudak氏と共に研究を進めている.
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