2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高速ロボットシステムによるダイナミックマニピュレーションの研究
Project/Area Number |
05J11883
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 拓 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロボティクス / 視覚センサ / マニピュレーション |
Research Abstract |
本研究では特に「高速性」に焦点を当てて,マニピュレーションアルゴリズムの開発および機械システムの限界に挑む超高速ロボットシステムの実現を目指している.本年度の成果の1つ目は,人間が投げたボールを任意の目標地点へ打ち返す高速バッティングロボットシステムを実現したことである.まずは所有している4軸マニピュレータの自由度不足を補うために,手先旋回機構の設計および作製をおこなった.そして衝突現象を用いた物体の制御方法を提案し,実験によりその有効性を確認した.人間は弾く・叩く等の衝突動作を利用して器用な操りを可能にしていることや,運動状態が速いほど物体間の相互作用は衝突過程になりやすいことを考えると,高速マニピュレーションを実現する上で衝突を扱うアルゴリズムは重要な技術の1つとなる.実験では2m離れた位置から40km/h程度でランダムに投球したボールに対して,半径15cmの的へ打ち返すことを可能にした.これは人間の場合でも訓練を重ねたプロフェッショナルな人にしかできない動作であり,非常に難度の高いタスクを実現したといえる.2つ目は,ロボットハンドによるダイナミックリグラスピング動作を実現したことである.従来のロボットは動作速度が遅かったために,物体の持ち替え動作は指と物体表面の接触を維持しておこなう準静的なものであった.それに対して本実験では,物体を空中に投げ上げて瞬時にその姿勢を変化させてキャッチをおこなう.ロボットハンドの高速性を利用することで,単に既存の動作を素早く実行するのではなく,方法そのものを変えて新たな運動技能を実証したアプリケーションである.3つ目は,新型ロボットアームの設計である.定格出力よりも瞬間出力に重点をおくというコンセプトのもと,(株)ハーモニック・ドライブ・システムズの協力により作製することが決定した.次年度以降に試作機の作製および検証を開始する.
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