2005 Fiscal Year Annual Research Report
触覚情報取得原理の解明およびそれを利用した次世代視触覚融合型ディスプレイの研究
Project/Area Number |
05J11884
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲谷 正史 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触覚 / 情報処理 / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
平成17年度の研究実績は大きく分けて3つにわけることができる. 1つ目は,3次元テレビの実現を研究目標とした,コイル状形状記憶合金を用いた3次元形状ディスプレイの研究である.細いピンを大量にならべ,かつ1本1本を個別に動かすことができるよう,形状記憶合金を利用したディスプレイの製作を行い,コンピュータグラフィックスの分野で使われている.ボリュームレンダリングを機械的に実現した.線形計画法を利用して制御アルゴリズムを最適化し,偏微分方程式を利用して形状記憶合金の熱収支モデルを検討した. 2つ目は,人間の触覚における時間分解能・空間分解能を評価するためのまったく新しい手法を提案した.これは,垂直方向にだけ自由に動く非常に細いピンを大量に並べた高密度ピンマトリクスを作成し,これを用いて物体表面をなぞることで,離散化した触覚情報を指に呈示する手法である.この手法により,これまでできなかった触覚における心理物理実験を可能とし,また先行研究では求めることのできなかった,触覚呈示装置に必要な,設計パラメータ等を明らかにすることができた. 3つ目として,世界的に見ても類例の少ない,触覚における錯覚現象を見出した.Fishbone Tactile Illusionと名づけたこの錯触覚は指が接触する部分に,表面が滑らかな面と粗い面を隣り合わせて配置することで生じることが明らかになっている.このような面を指先でなぞると,多くの体験者は滑らかな面を「平らである」というよりも「くぼんでいる」と錯覚することがわかった.そのような錯覚の起きる条件,および,知覚する深さの程度を定量的に評価した.この現象は,物理的に凹凸形状を作らなくとも,触覚においてバーチャルな凹凸感の生成が可能であることを意味している.ゆえに,このことを応用して,今後は目には見えない触覚的なくぼみをたどらせることで,結果として人の動作を誘導するインターフェイス(たとえば把持する際の持つべき位置を示す,もしくは操作方法を暗黙的に示すなど)の創出に生かせないかと考えている.
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Research Products
(5 results)