2005 Fiscal Year Annual Research Report
高誘電率材料のフォノン構造と電子物性の解明、及びMOSデバイスへの最適化
Project/Area Number |
05J11894
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 一行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | High-k / HfO_2 / 誘電率 / 結晶相転移 / Hf-silicate / 分子分極率 / 分子体積 |
Research Abstract |
HfO_2は単斜晶以外の結晶構造をとることでその誘電率が増大することが報告されている。本研究では低誘電率材料であるSiO_2を少量Hf0_2中に添加することで結晶構造変化が促されることに着目し、誘電率への影響を定量的に検討した。HfSiO_2膜はHfO_2とSiO_2の同時スパッタリングにより成膜し、その後N_2+0.1%O_2雰囲気中で30秒間の熱処理を行った。 実験の結果、400℃で熱処理を行った試料は組成に関わらずアモルファス構造を維持しており、誘電率(k)はSiの組成に対してほぼ線形に減少することが分かった。一方、800℃で熱処理を行った試料はSi<10%の領域でHfO_2単体(k〜15)に比べて非常に高い誘電率(k〜27)を示した。放射光を用いた高精度XRD測定の結果から、高誘電率を示す膜の結晶構造は正方晶が主要な相であると考えられる。ここでClausius-Mossotti式を仮定すると、誘電率増大は分子分極率α_mの増大か分子体積V_mの減少で説明されるはずである。XRDの測定結果と誘電率からα_mとV_mの値を求めると、誘電率の増大はα_mの増大ではなく、結晶構造変化に伴うV_mの縮小によるものであるということが分かった。これはSiO_2のような低誘電率材料を用いても、構造の変化を促すことで膜全体の誘電率の増大が可能であることを意味している。さらにFT-IRを用いた解析を行ったところ、結晶構造の変化に伴いフォノン構造の大きな変化が観察された。今後はフォノン構造の変化と誘電率増大の関係を詳細に検討し、誘電率増大のメカニズムをより明確にしていく。
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Research Products
(2 results)