2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模分子系の励起状態に対するスケーラブルな定量的電子相関理論の開発
Project/Area Number |
05J11896
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉重 佑輝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子軌道法 / 平面波基底 / 有限要素法 / クーロン積分 / 励起状態計算 / リニアスケーリング / 密度汎関数法 / 光機能性材料 |
Research Abstract |
光機能性分子は化学的手法による光学特性の自由な制御が可能であり、分子レベルの設計が可能なナノ分子デバイス材料として期待される。光機能性分子の機能は特定の励起状態を経由し発現するため、励起状態のエネルギー準位、電荷分布、スピン状態等がその機能を決定づける。それゆえ光機能性分子の機構解明には定量的な励起状態計算法が必須となるが同時に、光機能性分子の計算では数百原子系を対象とするため大規模分子にも対応できる方法でなければならない。 現在、大規模分子の励起状態計算に最も現実的な方法は時間依存密度汎関数法である。この方法において最も計算時間を要する部分の一つはクーロン積分でありその計算量は系のガウス基底関数の総数Nに対してO(N^4)にスケールし増加する。よって原子数を10倍に増やすと計算量は10,000倍にもなってしまうため現在計算可能な原子数は頭打ちとなっており、分子の大きさにそのまま比例するようなスケーリングの低い新たなクーロン積分法の開発が不可欠である。 以上のことから本年度は、平面波補助基底や有限要素補助基底など局所的な特徴を持つ関数を一時的に用いて電子密度やクーロン場を表現し、その局所性を利用することでO(N)にスケーリングを抑える新たなクーロン積分法の開発を行った。具体的には特徴の全く異なる内殻様電子密度と価電子様電子密度を分割し、後者には平面波補助基底法を用いる事にした。電子密度の分割においては設定した精度の範囲内で最も効率が良くなるような方法Adaptive density partitioning technique(ADPT法)を新たに開発した。ADPT法により価電子様電子密度の寄与については従来の計算法に比べ十分な高速化を実現しスケーリングもO(N)に落とすことができた。
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Research Products
(1 results)