2005 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合ナノチューブの自己組織化における精密構造制御とその機能化
Project/Area Number |
05J11901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 拓実 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己集合 / ナノチューブ / 配位結合 / パラジウム / 分子認識 |
Research Abstract |
チューブ状化合物はその形状の特異性から、イオンや分子などの物質輸送や特異的な反応場への応用などが期待される。このような高度な機能を達成するためには、チューブの長さや直径を精密に制御することが重要である。本研究では2つのトリスピリジン単位をビフェニレン基で連結した配位子とPd錯体から、長さ3.5nmの配位結合ナノチューブ1が定量的に自己集合することを報告している。今回、1を用いた形状選択的ゲスト認識を達成した。 2つのビフェニル基をテトラエチレングリコール鎖で連結した紐状分子2と、ペンタエチレングリコールを用いた3を共存させた場合、2を取り込んだ包接錯体1・2のみが生成することがNMR測定から示された。次に非対称なゲストを用いて包接錯体の動的挙動を観測し、ゲストの選択性について検討した。チューブ内に包接されたゲスト分子は、一次元のシャトリング運動によってチューブから出入りする。また、室温ではチューブ内で安定に留まっている分子でも、高温条件下ではシャトリング運動を起こすと予想される。したがってこのようなゲスト分子の挙動を観測できれば、包接錯体のゲストによる安定性の違いを評価できると考えた。 4-ヒドロキシビフェニル基とビフェニル基をペンタエチレングリコール鎖で連結したゲスト3'を包接したチューブ錯体についてNMRを測定したところ、室温においてホスト骨格のシグナルが非対称化して観測された。続いて測定温度を上昇させていくと、これらのピークが次第にシフトし、およそ54℃でコアレスした。一方テトラエチレングリコールをリンカーとして用いた紐状分子2'について同様の検討を行ったところ、79℃でピークの平均化が起こった。2つのゲスト分子の相違はリンカーの長さのみであることから、チューブ錯体1は分子の長さを認識し、チューブ長に応じてゲストを選択的に取り込むことを明らかにした。
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