2006 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合ナノチューブの自己組織化における精密構造制御とその機能化
Project/Area Number |
05J11901
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 拓実 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自己集合 / ナノチューブ / 配位結合 / パラジウム / 分子認識 |
Research Abstract |
チューブ状化合物はその形状の特異性から、イオンや分子などの物質輸送や貯蔵、反応場としての利用など、様々な応用が期待される。しかしながら分子性ナノチューブの高度な機能化のためには、化学的手法を用いた精密構造制御が不可欠である。本研究ではこれまでに、合理設計したパネル状配位子とPd錯体とを自己集合させることにより、3.5nm長の一義構造を有する配位結合ナノチューブを定量的に合成し、チューブ錯体を用いた形状選択的ゲスト認識を報告している。今回、チューブに内包された酸化還元活性な有機分子の新規な性質を明らかにし、特異的酸化還元システムの構築を達成した。 チューブ錯体は外界から孤立した一次元空孔を有しており、そこに強く補足されたゲスト分子は、外的刺激に対して通常とは異なる性質を示すことが期待される。そこで酸化還元活性なテトラチアフルバレン(TTF)包接錯体を新たに合成し、電気化学応答性を測定した。あらかじめ調製したチューブ錯体水溶液にTTFを加え室温で15分撹拝すると、速やかにゲスト交換反応が進行し、TTF包接チューブを得た。続いてこの包接錯体に関してサイクリックボルタンメトリーの測定を行ったところ、1つの大きな酸化ピークと2つの還元波が観測された。TTFは通常、安定なカチオンラジカルを経てジカチオンへと段階的に酸化されるため、2組の可逆な酸化還元波を示す。一方チューブ内では第一酸化電位は+500mVシフトし、カチオンラジカル状態を経ずに一気にジカチオンまで2電子酸化されることがわかった。続いて電位を還元側に掃引することで、1電子還元を繰り返して中性構造に戻ることが示された。配位結合ナノチューブはカチオン性ホストであるため、酸化と同時にカチオン種となったゲスト分子がチューブの外に飛び出し、引き続きチューブ外で還元が起こるためと考えられる。
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Research Products
(1 results)