2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィリン環状ホストを用いた高次フラーレンの分子認識と構造変換
Project/Area Number |
05J11908
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄子 良晃 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属ポルフィリン / フラーレン / 高次フラーレン / キラリティセンシング / キラルシフト試薬 / 光学分割 |
Research Abstract |
研究者は現在、不斉な炭素骨格を有する炭素クラスターのキラリティセンシングを目標として研究を行っている。三次元的な球状構造に由来するキラリティをセンシングするために、相互作用部位として、不斉に歪んだπ共役面を有するキラルな新規ポルフィリン環状ホストを設計、合成した。新規キラルホストと、不斉炭素クラスターの一つである高次フラーレンC_<76>との複合化を行ったところ、^1H NMR上で、ホストに由来する^1H NMRシグナルがジアステレオマー複合体間で非等価になることを見出し、C_<76>のキラリティを^1H NMR上でセンシングすることに成功した。プロトタイプのホストでは、キラリティセンシングの際に測定温度を低温にする必要があったが、分子デザインの検討により、センシングに有効な構造要素の抽出を行い、ホスト構造のチューニングを行った。その結果、測定温度を下げずに、室温でもC_<76>のキラリティセンシングが可能なホストの合成を達成した。さらに、このホストをC_<76>の光学純度決定に利用し、既存の報告よりも正確なC_<76>のΔεの算出に成功した。すなわち、本キラルホストの、不斉炭素クラスターに対するキラルシフト試薬としての有用性を示した。本キラルホストを利用した光学純度決定法は、他の不斉炭素クラスターの物性値算出にも大きな威力を発揮すると期待される。 また、キラルホストを用いて、C_<76>との複合体の形で再沈殿を行うことにより、析出した複合体中でC_<76>の一方のエナンチオマーが濃縮されることを見出した。この知見を発展させることにより、新しい、簡便で効率的な不斉炭素クラスターの光学分割法が開発できると期待される。
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