2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィリン環状ホストを用いた高次フラーレンの分子認識と構造変換
Project/Area Number |
05J11908
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄子 良晃 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キラルフラーレン / 高次フラーレン / 金属ポルフィリン / キラルポルフィリン / 不斉認識 / ホスト-ゲスト |
Research Abstract |
フラーレン類にはC60よりもサイズの大きな、高次フラーレンが存在する。さらにその中にはC76、C78やC84などの不斉な炭素骨格を有するものが存在し、光学材料や医薬品としての応用の面で注目されている。キラルな高次フラーレンは官能基や特定の不斉中心を持たない、分子不斉を有する炭素クラスターである。これらの構造的特徴は、キラルな高次フラーレンが、他の分子と相互作用するための足場に極めて乏しい分子であることを意味する。そのため、それらのキラリティを認識することは本質的に困難である。そこで、不斉な湾曲を有するポルフィリン部位を導入した新規キラルホストを設計、合成し、C76との複合化を試みた。実際に、ホストのエナンチオマーとラセミ体のC76からなる複合体の水素核核磁気共鳴(1HNMR:1H Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルを測定した所、20℃においてホストに由来する1H NMRシグナルにジアステレオマー複合体に由来する分裂が観測され、さらにジアステレオ複合体の積分比から、このキラルホストがC76に対してKlarge/Ksmall=1.2程度のエナンチオ選択性を有していることを明らかにした。さらにホストの光学異性体を用いて、実際にラセミ体のC76からエナンチオ選択的抽出を行えることも確認した。このホストは、キラルフラーレンを不斉認識可能な、初めてのホスト分子である。
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Research Products
(2 results)