2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11909
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 隆芳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超伝導 / 結晶材料 / バルクマグネット / 臨界電流特性 / 微細組織評価 |
Research Abstract |
RE123溶融凝固バルクにおける支配的なピンニングセンターはRE123母相とRE211析出物との界面と考えられているが、J_cの絶対値や体積ピンニング力とRE123/RE211有効界面積密度との間には必ずしも相関はなく、RE123母相に起因したJ_c決定要素が存在することを見出した。その候補として本研究では結晶性に着目している。同一のRE123/RE211有効界面積密度をもつ組織では小傾角粒界の発達とJ_cの低下とは相関しており、さらに体積ピンニング力においても依存性が大きいことから小傾角粒界はピンニングセンターとしてではなく、磁束フローを促す働きをしていることが示唆された。また、RE123溶融凝固バルクには成長方位によってa-growth領域とc-growth領域という2種類の結晶成長領域が存在し、常に一定の過冷度を保って結晶成長界面が進行するc-growth領域では小傾角粒界の発達が抑制され、同一のRE123/RE211有効界面積密度をもつa-growth領域よりも優れたピンニング特性を示すことを明らかにした。この結果は従来のa-growth領域重視傾向に対し、c-growth領域を主相とした溶融凝固バルクの有用性を示している。 本研究ではRE123溶融凝固バルクの酸素量(キャリア濃度)制御にも重点を置いている。RE123溶融凝固バルクでは単結晶試料と比べ、酸素が導入されにくい。作製プロセスの比較からこの原因は試料内に含まれる炭素にあると考え、炭素含有条件の異なる試料で比較したところ、炭素含有量が増加するにつれて酸素の導入が阻害されることが分かった。この炭素は粒界の不純物やRE123結晶内の置換炭素として存在していると考えられる。炭素の導入を抑制することで、従来よりもキャリアのオーバードープ状態にすることに成功している。
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Research Products
(2 results)