2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11909
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 隆芳 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超伝導 / 結晶材料 / バルクマグネット / 臨界電流特性 / 微細組織評価 |
Research Abstract |
Y123多結晶試料では酸素気流中で十分なアニール処理を施しても最適ドープ状態にとどまり、オーバードープ状態に至りにくいことが知られている。この原因としてチェーンサイトのCuの一部に固溶したC(炭素)によるキャリア量の低下が指摘されている。溶融凝固バルクにおいてもオーバードープ状態の実現が困難であることから結晶育成雰囲気中、原料粉末中に残存するC置換効果の解明を試みた。最適ドープ状態とそのT_cは試料によってほとんど差は見られないが、オーバードープ領域ではC含有量が減少する作製条件になると系統的にT_cが低下し、溶融凝固バルクにおいても原料粉末や大気中に含まれるCがオーバードープ状態の実現を阻害していたことを示唆する結果となった。また、キャリアの強いオーバードープ状態を達成することにより、磁場中においてJ_c特性が大きく向上し、不可逆磁場の改善にも成功している。 REがBaサイトへ固溶した領域はRE123溶融凝固バルクにおいて磁場中で有効なピンニングセンターとなりうるが、この固溶が起こるRE123はこれまでGd以上のイオン半径を持つ中軽希土類系のみと考えられてきた。本研究ではGdよりもイオン半径の小さい重希土類系溶融凝固バルクにおいてRE/Ba固溶組成の存在を明らかにすることを目的とし、様々な雰囲気酸素分圧(P_<o2>)下で結晶育成を行った。J_c-B特性では、高P_<o2>下で作製したDy123やHo123溶融凝固バルク試料で第2ピーク効果がより顕著に現れ、Dy/Ba, Ho/Ba固溶領域が存在し磁場誘起型のピンニングセンターとして第2ピーク発現に寄与していることが示唆された。Hoよりもイオン半径が小さく固溶が起きないとされるY123溶融凝固バルクにおいてこのような傾向が観測できなかったことも第2ピーク効果がDy/Ba, Ho/Ba固溶領域の存在と関連していることを強く支持している。
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Research Products
(1 results)