2006 Fiscal Year Annual Research Report
二ホウ化マグネシウム超伝導体における磁束ピンニング機構の解明と実用化基盤研究
Project/Area Number |
05J11910
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 明保 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超伝導 / 金属系超伝導体 / MgB_2(二ホウ化マグネシウム) / 磁束ピンニング機構 / 臨界電流特性 / 元素置換 / 多結晶バルク体 |
Research Abstract |
実用化に向けて研究開発の進んでいるニホウ化マグネシウム(MgB_2)超伝導体の基礎特性の解明、及び超伝導応用の際に重要な特性パラメータである臨界電流密度の改善を目指し研究を行った。化学的反応性や蒸気圧の高い金属マグネシウムの量を精密制御し、再現性よく高特性MgB_2バルク体試料を得るために独自に開発したPowder-in-Closed-Tube法を用い、MgB_2超伝導体の化学組成の制御や微細構造の変化がMgB_2の超伝導特性に及ぼす影響について系統的に調べた。本年度の研究結果を以下に箇条書きに記す (1)MgB_2のホウ素サイトへの炭素元素の置換効果について調べた。炭素を含む化合物のドーピングによって高磁場下における臨界電流密度が向上するが、これは炭素完素置換によって導入されるMgB_2結晶内の歪みの導入に由来することを明らかにした。また、炭素源ドーパントのサイズや反応性の違いによる超伝導特性への影響を調べたほか、遷移温度の低下と臨界電流密度の磁場特性向上のクロスオーバーの生じる最適な炭素置換量を明らかにした。 (2)九州工業大学松下研究室と共同研究を行い、MgB_2超伝導体への炭素置換、低温生成が磁束ピンニング特性に及ぼす影響について明らかにした。 (3)米国ウィスコンシン大学応用超伝導センターと共同研究を行い、ファラデー効果を利用して鉄ガーネット膜などの磁性薄膜をインディケーターとして試料内の磁束密度分布を可視化する磁気光学法(MO法)により、MgB_2多結晶体内の電流分布や局所的欠陥の直接観察を行った。その結果、バルク体内のクラックや低密度MgB_2のコロニー等の、数十μm以上の大きさの欠陥が臨界電流特性に強い影響を及ぼしていることを明らかにした。また、より微小なスケールで生じていると考えられるMgB_2粒界におけるコネクティビティ低下の兆候をMO法、及び電磁気的測定の双方から観測した。
|
Research Products
(9 results)