2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体型人工DNAによる金属イオンのヘテロ集積化と新規機能発現制御
Project/Area Number |
05J11921
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹澤 悠典 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 人工DNA / 金属錯体 / 人工ヌクレオシド / 機能性核酸 |
Research Abstract |
本研究では、核酸塩基として金:属配位部位を持つ人工DNAを合成し、金属錯体型塩基対の形成により、多種・多数の金属イオンを定量的かつ位置選択的に集積化することを目指している。複数種の金属イオンを目的に合わせて配列化するには、金属配位子である人工ヌクレオシドと目的の金属イオンとを1:1に対応させることが必要である。そこで、ソフト・ハードによる親和性の差に基づいて、新規金属配位型ヌクレオシドとしてメルカプトピリドン型ヌクレオシド(M)をデザイン、合成した。 メルカプトピリドン型ヌクレオシドは、3-メルカプト-4-ピリドンを核酸塩基部位として有し、金属配位部位としてソフトなドナーであるチオール基を持っている。そのため、すでに報告しているヒドロキシピリドン型ヌクレオシド(H)と金属イオンの選択性に大きな違いを示すことが期待できる。 チオール基を保護した核酸塩基部位とリボース誘導体のカップリング反応により、ヌクレオシド骨格を合成した。天然型ヌクレオシドと同じ立体であるβアノマーの単離・精製ののち、脱保護反応を経て、目的のメルカプトヒ。リドン型ヌクレオシドを得た。構造は、^1H NMR、^<13>C NMRおよびNOEにより決定した。 得られたヌクレオシドに対し、各種金属イオンの滴定実験をおこなったところ、UV吸収スペクトルの変化から、Pd^<2+>イオン、Ni^<2+>イオンなどのソフトな金属イオンとの錯形成が示唆された。今後は、NMR, MSなどによる錯形成挙動の評価、および金属イオンの選択性の評価を行っていく。 さらに、DNA合成機に導入可能なフォスフォロアミダイト体へと誘導し、合成機による逐次縮合反応が円滑に進行することを確認した。今後は、脱保護・精製条件を検討するとともに、メルカプトピリドン型ヌクレオシドおよびヒドロキシピリドン型ヌクレオシドを導入したオリゴヌクレオチドによる、異種金属イオンの集積化について検討していく。
|
Research Products
(1 results)