2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体型人工DNAによる金属イオンのヘテロ集積化と新規機能発現制御
Project/Area Number |
05J11921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹沢 悠典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 人工DNA / 金属錯体 / 人工ヌクレオシド |
Research Abstract |
本研究では、核酸塩基として金属配位部位を持つ人工DNAを合成し、金属錯体型塩基対の形成により、多種・多数の金属イオンを定量的かつ位置選択的に集積化することを目指している。複数種の金属イオンを目的に合わせて配列化するには、金属配位子である人工ヌクレオシドと目的の金属イオンとを1:1に対応させることが必要である。そこで、ソフト・ハードによる親和性の差に基づいて、新規金属配位型ヌクレオシドとしてメルカプトピリドン型ヌクレオシド(M)をデザインした。 メルカプトピリドン型ヌクレオシドは、3-メルカプト-4-ピリドンを核酸塩基部位として有し、金属配位部位としてソフトなドナーであるチオール基を持っている。そのため、すでに報告しているヒドロキシピリドン型ヌクレオシド(H)と金属イオンの選択性に大きな違いを示すことが期待できる。 核酸塩基部位は、4-クロロピリジンを原料とし、4位をメトキシ基に変換した後、3位選択的にSを導入し、官能基を保護した4-メトキシ-3-チオアセチルピリジンとして合成した。続いて、水酸基を保護したデオキシリボースとのカップリングにより、ピリジニウム塩としてヌクレオシド骨格を得た。1'位の立体が異なるアノマーが得られたが、その一方(α体)を単離・精製し、^1H NMRおよびNOESYにより構造を決定した。カップリング反応において、目的とするβアノマーの収率の向上を目指し、反応基質の保護基、ルイス酸、反応溶媒、反応温度などの検討を行い、α:β=〜4:1でヌクレオシド骨格が得られることが明らかとなった。また、ヨウ化ナトリウムを用いて、アノマー比率を維持したまま、メチル基の脱保護することができた。 今後は、アノマーの分離と脱保護を経て、ヌクレオシドMを合成し、金属錯体型塩基対形成について評価する。
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