2007 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の脱皮抑制ホルモン受容体の同定とそれに基づいた脱皮制御機構の解明
Project/Area Number |
05J11933
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅妻 英章 The University of Tokyo, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 受容体 / 甲殻類 / 脱皮・変態 / ペプチドホルモン / シグナル伝達経路 |
Research Abstract |
MIH受容体遺伝子の取得を目指し、前年度に引き続いて発現クローニング法を用い、MIH受容体遺伝子の探索を行った。しかし、MIHに特異的に結合し、MIH受容体であると思われるクローンを得ることはできなかった。 MIH受容体の下流で、MIH刺激によって標的器官であるY器官細胞内で変動するシグナル伝達因子として、cGMPを同定した。次に、cGMPを産生する分子としてグアニル酸シクラーゼ(GC)が機能していることが予想されたため、Y器官におけるGCの解析を行った。GCには受容体として機能する膜型GCと、可溶性GCの2種類が存在する。可溶性GC特異的な阻害剤であるODQを用いたところ、MIHのシグナル伝達には変化が見られなかった。よって、MIH刺激によってcGMPの産生を行っているのは膜型GCであることが示唆された。次に、Y器官からGCをコードするcDNAのクローニングを行い、3種類のcDNAを得た。また、Y器官以外からは2種類の合計5種類のGC cDNAを取得した。このうち、MIHの標的組織であるY器官で最も転写量が多いのはMjGC1であった。しかし、MjGC1の発現分布は組織特異性を示さず、この分子自体はMIH受容体ではないと予想された。よって、MIH受容体はGCではなく、MIHとMjGC1を繋ぐアダプター分子のような役割を果たしているものと考えている。 また、脱皮ホルモン生合成遺伝子のひとつであるphantomのcDNAをクルマエビY器官から同定し、その発現がY器宮に特異的であること、脱皮周期に応じた発現変動を示すことを明らかにした。さらに、phantomの転写量はMIHによって抑制されることを示した、よって、MIHの脱皮抑制活性は脱皮ホルモン生合成遺伝子の転写抑制によって生じていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)