2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和を指向した実践的不斉合成法の開発と創薬への展開
Project/Area Number |
05J11948
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清原 宏 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 触媒的不斉アリル化反応 / イミノエステル / イミノホスホネート / アリルシラン / エンカルバメート / 触媒回転頻度 |
Research Abstract |
筆者は高エナンチオ選択的なイミノエステルの触媒的アリル化反応の開発を行った。アリルシランは対応するアリルスズに比して低毒性であるが、反応性が低くこれまでに目的とする反応で高収率かつ高エナンチオ選択性を実現したものはなかった。本研究では、反応性の高いイミノエステルの活用およびよりLewis酸性の高い金属触媒種を用いることにより所望の目的を達成することができた。本反応系は様々なアリルシランに適用でき、広い一般性を有することも明らかにした。特にこれまで適用が困難とされてきたアリルトリメチルシランを用いた場合も、良好な収率および高い不斉収率をもって目的とする付加体を得ることができた点は特筆に値する。またエステル部位をホスホン酸エステルに置き換えた基質であるイミノホスホネートの反応への展開も行い、目的とするα-アミノホスホン酸誘導体を良好な収率・エナンチオ選択性で得ることができた。なお、イミノホスホネートの触媒的不斉アリル化反応はこれまでに報告がなく初めての例である。 また、イミノホスホネートに対するエンカルバメートや芳香族化合物といった様々な求核剤の触媒的不斉付加反応の研究への応用を検討している。特にエンカルバメートを求核剤とした場合に、非常に高い触媒回転頻度が確認されている。対応するケイ素エノラートの付加反応に比して1000倍もの頻度で触媒サイクルが回転していることがわかっており、これらの知見は金属触媒反応における反応設計に新たな指針を与えるものである。本反応系はアルデヒドおよびケトン由来の種々のエンカルバメートに適用でき、選択性も高い。さらに、反応の初期生成物は様々な変換を施すことで多様な含窒素化合物へと誘導できることを明らかにした。現在、高い触媒回転頻度が発現する機構の解明を行っている。
|