2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性を有するビスインドール型アルカロイド、コノフィリンの効率的全合成研究
Project/Area Number |
05J11955
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
半矢 祐己 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 有機合成 / 天然物の全合成 / アルカロイド / 抗腫瘍活性 / コノフィリン / Polonovski反応 / ジヒドロフラン環 / エポキシ化 |
Research Abstract |
コノフィリンは、キョウチクトウ科の植物Ervatamia microphyllaの葉から単離されたビスインドール型アルカロイドである。本化合物は抗腫瘍活性を有することが知られていたが、最近になってインスリン生成誘導活性も有することが報告されており、有機合成による大量合成ならびに誘導体化が望まれている。本研究は、不斉ジヒドロフラン環の効率的合成を鍵反応としたコノフィリンの収束的合成法を確立することを目的としている。 私は本年度、コノフィリンの全合成を目指し、本研究に従事した。結果、オルトアルケニルフェニルイソシアニドを基質とするラジカル環化反応により、高度に酸素官能基化された下部ユニットの合成に成功した。一方、上部ユニットは、メシロキシタベルソニンのメシル基をアリル基へと変換することで得られた。以上のようにして得られた下部ユニットと上部ユニットとをPolonovski反応の条件に付したところ、位置・立体選択的にカップリング反応が進行した。続いて、パラジウムを用いてアリル基の脱保護を行ったところ、分子内5-exo閉環反応が速やかに進行し、望みの不斉ジヒドロフラン環の構築に成功した。最後に、メシル基とTroc基の脱保護の検討を行った。ところが通常用いられる加溶媒分解の条件では基質の損壊を招くのみであり容易に脱保護できないことが判明した。その後の精力的な検討の結果、リチウムジイソプロピルアミドを用いた場合、メシル基だけでなくTroc基も同時に脱保護できることを見出し、コノフィリンの全合成を達成することができた。 今後は構造活性相関研究を視野に入れ、コノフィリン誘導体の合成に着手する予定である。
|