2006 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場MR構造面像に基づいたサル大脳連合野記憶ニューロンの層分布マッピング
Project/Area Number |
05J11962
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小谷野 賢治 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | MRI / 皮質層構造 / 視覚連合記憶 / 電気生理 / 高次認知機能 / 霊長類 / 微小電極 |
Research Abstract |
本研究では、電気生理学的手法と磁気共鳴画像法(MRI)の併用により個々の神経細胞の活動記録部位を正確に同定することで、視覚連合記憶に関わる神経細胞の性質と大脳皮質層構造の関係を解明することを目的としている。昨年度においては単一神経細胞活動の記録部位を高磁場4.7テスラMRIにより同定する原理的手法を開発したが、本年度においてはこれを課題遂行中のサルへと応用するための実用化を最初に行った。そのためにまず、高磁場MRIと単一神経細胞活動記録を両立させるため、MRI対応の非磁性超小型記録電極マニピュレータの開発を行った。ナリシゲ科学器械研究所の協力を得て、高磁場でも使用可能な非磁性ジュラコン樹脂を材料とし、MRI装置内部の限られた空間でも使用可能なように小型(22x16x5mm)だが必要な剛性を保ち、かつ高精度のマニピュレータを開発した。次にこの非磁性小型マニピュレータを用いて実際にサル側頭葉へ記録電極を刺入し、超高解像度(150μm^2)MRIによって電極位置の保持牲能を調べた。その結果、飼育ケージでの覚醒状態を経ているにもかかわらず、複数日にわたって安定して電極先端の位置を保持できることが示された。このような安定した保持性能は、覚醒下で課題遂行中のサルからの神経細胞活動記録と麻酔下での超高解像度MRI構造画像の取得を異なる日に行うことをも可能とし、日常的に使用可能な手法としての利便性が実現された。上記手法の要点を2006年に京都で行われた第29回日本神経科学大会、米国アトランタにて行われた北米神経科学大会、および2007年に大阪で行われた第84回日本生理学会大会にて報告した。また、上記手法の原理から実用化段階まで含めた成果を論文としてまとめNature Methods誌に投稿して受理され、2007年2月号に掲載された。その後、位置同定精度の向上を目的とし、さらなる高解像度の構造画像を取得するため、新しいサーフェス受信コイルを導入し最適の撮像シーケンスを決定した。また、1頭目のサルについて連合記憶課題の訓練を開始した。
|
Research Products
(4 results)