2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポストシナプスにおける分子動態の総合的イメージング
Project/Area Number |
05J11967
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 哉 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 神経細胞 / シナプス / シグナル伝達 / 可視化 / イメージング / 蛍光 / FRET |
Research Abstract |
脳はニューロンという素子が複雑につながり合ったネットワークである。ニューロンの樹状突起に入った多数のシナプス入力は、その時空間パターンに応じて様々な細胞内シグナルへと変換され、ニューロンの機能を制御している。この変換過程はニューロンの素子特性を理解する上での基礎となるが、まだ十分には理解されていない。 本研究の目的は、上記の変換過程を明らかにし、ニューロンの素子特性、およびその素子特性を実現するための樹状突起の機能を明らかにすることである。そのために、高時空間分解能をもつ二つの技術(レーザーアンケイジングと顕微鏡イメージング)を組み合わせた新しい生化学解析手法の開発に取り組んでいる。 平成18年度は初年度に開発・確立した基礎技術(時空間分解能の高い刺激方法の確立と神経細胞内シグナル伝達を可視化する分子プローブの作成)を発展させ、より応用的な実験を行った。 (1)、シナプス刺激に伴う細胞内シグナル変化の可視化 海馬ニューロン分散培用系において、単一シナプス刺激に伴う細胞内シグナル伝達因子の構造・局在変化および細胞骨格系の変化を可視化することに成功した。この成果から、シナプス刺激に伴いダイナミックに変化する細胞内シグナルの様相の一端を明らかにした。 (2)、複数の細胞内シグナルの同時可視化 神経細胞内のシグナル伝達過程を解析するために、複数の細胞内シグナルを同時に可視化する方法を開発し、新たな光学系のセットアップを行った。この方法を単一シナプス刺激と組み合わせ、シナプス入力に伴うCa^<2+>上昇とその下流因子活性の時空間変化を同時に可視化することに成功した。 (3)、新たな分子プローブの開発 新規蛍光タンパクを利用して、高時空間分解観察に適したS/N比の高いプローブ、組織・個体レベルでの解析に有利な長波長蛍光のプローブ、および細胞内シグナルタンパクの構造変化を検知するプローブを新たに開発した。
|