2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患の遺伝素因におけるB細胞シグナル伝達系分子の多型の役割
Project/Area Number |
05J11968
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
人見 祐基 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝子多型 / 機能解析 / 選択的スプライシング / 全身性エリテマトーデス / 全身性強皮症 / B細胞 |
Research Abstract |
1.全身性エリテマトーデス(SLE)感受性と関連するCD72遺伝子多型の機能解析 これまでに、主にB細胞に発現する抑制型受容体であるCD72の遺伝子多型が、2種類のCD72選択的スプライシングアイソフォームの量比との関連を介し、同じくB細胞に発現する抑制型受容体であるFcγRIIBの遺伝子多型とのSLE感受性における遺伝子間相互作用を有することを見出した。 今年度は、健常者の末梢血単核球より2種類のCD72選択的スプライシングアイソフォームの全長を採取し、これらを抗IgM抗体による抗原受容体シグナルによりアポトーシスが誘導されるマウスB細胞株のWEHI-231および内在性のマウスCD72を欠損しているマウスB細胞株のK46μmλへレトロウイルス発現系を用いて導入し、それぞれの定常発現株を得た。 2.CD22遺伝子多型と自己免疫疾患感受性との関連解析 これまでのCD22ノックアウトマウスや種々の自己免疫性疾患モデルマウス等の知見から、主にB細胞に発現する抑制型受容体であるCD22を自己免疫性疾患の疾患感受性候補遺伝子と考え、CD22遺伝子多型と全身性強皮症(SSc)の疾患感受性との関連解析を施行した。 まず、過去に報告したCD22多型部位について、金沢市近郊在住の健常者およびSSc患者を用いた患者対照研究を行ったところ、CD22遺伝子の第13エクソンにおける同義置換のSNP(c.2304 C>A)において、健常対照群には存在しないA/A遺伝子型がSSc患者のみで観察され(P=0.025)、それらはすべてlimited cutaneous SSc(lcSSc)群であった(P=0.007)。さらに、SSc患者の末梢血単核球におけるCD22発現量をフロー・サイトメトリーにて検討した結果、A/A遺伝子型を持つ群のCD22発現量の低下が観察されたことから、CD22多型がCD22発現量低下を介し、lcSScの感受性に関連する可能性が示唆された。
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