2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J11976
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古谷 美央 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 未分化 / 多分化能 / ES細胞 / レトロトランスポゾン / non-coding / 転写 |
Research Abstract |
未分化胚性幹(ES)細胞で活発に転写されているレトロトランスポゾンETnの転写機構を調べるため、プロモーター領域に結合する因子の単離・精製をおこなった。ゲルシフトアッセイによってプロモーター領域には分化状態によらず恒常的に結合する因子(アクチベーター)と、未分化状態で強く結合し、分化誘導によりその結合活性が著しく低下する因子(レギュレーター)の結合領域が存在すること、またレポータージーンアッセイからそれらの各領域に変異を加えることによりプロモーター活性が完全に失われることが明らかとなったため、まずレギュレーターの単離を試みた。ゲルシフトアッセイでみられるDNA結合活性およびサイズ分画、また結合配列等から候補因子を絞り込んだ。この因子(A因子と表記)の発現ベクターを作製し、通常ETnのプロモーター活性がほとんど見られないNIH 3T3細胞に導入したところ、ETnのプロモーター活性が上昇した。さらに、発現ベクターを導入したNIH 3T3細胞より核抽出液を調製し、ゲルシフトアッセイを行った結果、empty vectorを導入したものと比べてDNA結合活性が著しく増加した。A因子がもつZinc Fingerを欠失させた発現ベクターではこれらのことは観察されなかったため、この因子がETnのプロモーター領域に結合し、活性化するにはZinc Fingerが必須であると考えられる。 A因子にはホモログ(B因子と表記)が存在する。これまでに、A因子はがん組織および精巣でのみ発現が認められ、B因子はA因子と排他的に発現するという報告がなされている。ところが、マウス未分化ES細胞においてはこの両方が発現していることが本研究により明らかとなった。現在、AB両因子が発現していう状態がES細胞の未分化状態を特徴づけているのではないかと考え、解析を進めていう。今後は、A因子をES細胞でノックアウトし、細胞の未分化状態に与える影響を検討する予定である。また、AB両因子を強制発現させたES細胞を作製し、多分化能や、ETnの発現に与える影響についても検討する。
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