2007 Fiscal Year Annual Research Report
頭部神経堤細胞に由来する組織、器官の形態形成機序の解明
Project/Area Number |
05J11977
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
礪波 一夫 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カルパイン / 微小管 / アクチン / 細胞骨格 / 細胞運動 / 筋分化 / エンドセリン / 鰓弓 |
Research Abstract |
本研究では鰓弓形成におけるエンドセリン-1(ET-1)シグナルの下流遺伝子としてCalpain6(Capn6)を同定した。さらに機能未知であったCapn6が微小管と結合し、その構築を安定化すること。アクチンを含めた細胞骨格の再構築に関与すること。細胞骨格制御を介して、細胞形態、細胞質分裂、細胞運動において重要な役割を果たしていることを明らかとした。その成果は本年度、海外誌Molecular and Cellular Biology,2007年4月号27巻に掲載された。 本年度はCapn6の細胞骨格構築に関わる分子機構の解明を試み、低分子量G蛋白質Rac1の活性状態に着目した。実験の結果、Capn6ノックダウン細胞における葉状仮足および細胞運動能の亢進はRac1のRNAiおよび特異的活性阻害剤により抑制され、またCapn6ノックダウン細胞ではRac1のGTPase活性が上昇していることを明らかとした。加えて、Capn6過剰発現細胞にNocodazolを高濃度で処理し微小管とCapn6の結合を乖離すると、細胞は糸状仮足を形成しCapn6はその糸状仮足上に局在を示すようになる。これらの結果はCapn6が微小管とアクチン双方向に親和性を示し、両者へのシャトリングとRacの活性制御を介し細胞骨格構築および運動性を調節していることを示唆するものである。今後Capn6とグアニンヌクレオチド交換因子との相互作用解析が期待されるところである。また、Capn6遺伝子改変マウスの解析が進められ、その中心的な発現組織である筋組織の形態に興味深い所見を見出している。下顎形成においてはET-1下流遺伝子として舌筋形成に寄与している可能性が示唆され、本研究の当初の目的からもCapn6の筋組織形成における役割の解明が分子のレベルから解明されることが期待される。
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Research Products
(3 results)