2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム遺伝子Bmi-1による造血幹細胞制御機構の解明
Project/Area Number |
05J11985
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小黒 秀行 東京大学, 大学院・医学系研究科, 大学院生
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / ポリコーム遺伝子 / Bmi1 / Ink4a-Arf / 幹細胞ニッチ / 細胞老化 |
Research Abstract |
Bmi1欠損マウスにおいては標的環伝子であるp16^<Ink4a>とp19^<Arf>発現が著明に亢進している。Bmi1欠損マウスにおける造血幹細胞の長期骨髄再構築能の障害はInk4aとArf遺伝子の両方を欠損した場合(Bmi1^<-/->Ink4a-Arf^<-/->)においてほぼ正常に回復し、Bmi1によるInk4a/Arf遺伝子の発現抑制が自己複製能の維持に必須であることを確認した。しかし、マウス個体における造血幹細胞数の減少はBmi1^<-/->Ink4a-Arf^<-/->マウスおいても完全には回復しないことからBmi1欠損マウスにおける幹細胞ニッチの異常を予想し、Bmi1欠損マウスをレシピエントとして野生型マウスの骨髄細胞を移植した結果、骨髄再構築の著しい低下がみられた。また、Bmi1欠損マウスにおいて骨梁の形成障害が観察され、ニッチサイズの減少が示唆された。Ink4a/Arfの発現亢進は細胞周期進行の抑制、アポトーシスの亢進と共に細胞老化にも関与する。Bmi1欠損造血細胞において細胞周期の異常やアポトーシスの亢進に異常は観察されなかったが、Bmi1欠損造血幹細胞を培養した際に、細胞老化の特徴である細胞の肥大化や、細胞老化に特徴的なsenescence-associated β-galactocidase陽性細胞の著明な増加が認められ、これらの現象はInk4a/Arfの欠損によって消失された。一方、Bmi1をInk4a/Arf欠損造血幹細胞に過剰発現した場合にも野生型同様に造血幹細胞活性の増強が得られたことから、自己複製能の制御においてInk4a/Arf遺伝子以外にBmi1が制御する遺伝子群の存在が示唆される。今後これらを明らかにすることが自己複製機構を理解する上で重要と考え、マイクロアレイなどを用いた発現解析を行っている。
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Research Products
(3 results)