2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム遺伝子Bmi-1による造血幹細胞制御機構の解明
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05J11985
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小黒 秀行 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 造血幹細胞 / ポリコーム遺伝子 / 幹細胞ニッチ |
Research Abstract |
造血幹細胞の自己複製に障害があるBmi1欠損造血細胞ではInk4aとArfの発現が亢進している。Bmi1^<-/->Ink4a-Arf^<-/->マウスを作成し、Bmi1欠損造血幹細胞における長期骨髄再構築能の障害の回復を解析すると、Ink4a-Arfの欠損によってほぼ正常に回復する。しかし、マウス個体の解析において、Bmi1欠損マウスの造血幹細胞数の減少はInK4a-Arfの欠損によっても回復はわずかにしか認められないことから、Bmi1欠損マウスにおける幹細胞を取り巻く微小環境(幹細胞ニッチ)の異常が予想される。そこで、本年度はBmi1欠損またはBmi1^<-/->Ink4a-Arf^<-/->マウスをレシピエントとして野生型マウスの骨髄細胞を移植することで造血支持能を検定した。その結果、骨髄の再構築が共に著しく低下しており、幹細胞ニッチの異常を示すことができた。この原因として、骨梁の形成障害が観察され、ニッチ細胞である骨芽細胞が存在する骨表面積の縮小、すなわち幹細胞ニッチサイズの減少を明らかにした。Ink4a-Arf欠損骨芽細胞の初代培養においても、RNAiによってBmi1をノックダウンするとその増殖は阻害された。骨芽細胞の分化マーカーの解析では、Bmi1欠損骨芽細胞において異常は確認されない。また、造血幹細胞の支持に機能すると考えられている遺伝子群の発現のRT-PCRによる定量や、Bmi1をノックダウンした骨芽細胞と造血幹細胞とを共培養後にコロニーアッセイを行った結果、これらの実験系では異常が認められなかった。以上の結果から、Bmi1は造血幹細胞の維持において内因性にはInk4a-Arfを抑制し、外因性にはInk4a-Arf以外の制御によってニッチサイズを維持して機能することを示すことができた。
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Research Products
(3 results)