2005 Fiscal Year Annual Research Report
環状アデノシン1リン酸によるシナプス伝達調節機構の研究
Project/Area Number |
05J11988
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 雅博 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | cAMP / Epac / N型Caチャネル / P / Q型Caチャネル / グルタミン取り込み / kiss&run / ケージドグルタミン酸 |
Research Abstract |
環状アデノシン1リン酸によるシナプス伝達調節機構の研究 ・通常濃度Ca(2mM)及び低濃度Ca(1mM)条件下において、forskolinの自発性開口放出の頻度に対する効果を検討した。 ・Epac活性化薬(8CPT2Me-cAMP)をシナプス前末端に注入し、EPSC振幅に対する効果を検討した。 平行して、以下の実験を行った。 シナプス前末端のP/Q型及びN型Caチャネルによるシナプス伝達 ・シナプス前末端でのP/Q型CaチャネルCa電流は活動依存的にその振幅が増大するが、N型CaチャネルCa電流は増大しない。 ・P/Q型CaチャネルCaチャネルが担うシナプス伝達は高頻度刺激下における伝達効率の減少が、N型のそれより小さい。 ・シナプス前末端のGABAB受容体によるCa電流の抑制効果は、N型Caチャネルの方がP/Q型Caチャネルより強い。 ・以上の結果から、生後発達に伴うシナプス前末端のN型CaチャネルからP/Q型へのスイッチングが、高頻度刺激に対する信頼性を向上させることに役立つことが示唆された。 シナプス小胞へのグルタミン取り込み速度の解析 ・空のシナプス小胞にグルタミン酸が取り込まれていく過程をシナプス前末端において再現するため、次の順序で実験を進めた。まずシナプス前末端内のグルタミン酸を還流透析することで小胞内のグルタミン酸濃度を減少させた。続いて、シナプス前末端内にケージドグルタミン酸をパッチ電極から直接注入した。ケージドグルタミン酸を用いることによって、瞬間的にグルタミン酸をシナプス小胞に暴露させることができる。次に紫外線照射によって、ケージドグルタミン酸からグルタミン酸を瞬間的に遊離させ、小胞へのグルタミン酸取り込みをシナプス後電流を指標として解析した。 ・グルタミン酸取り込みの時定数は室温で約15秒で、Q10は1.8であった。 ・以上の実験から、シナプス小胞再利用過程で1分程度の遅い経路ではグルタミン酸の取り込みが間に合うと考えられるが、kiss&runのような1秒以内の速い再利用過程では不十分になることが示唆された。
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Research Products
(1 results)