2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J12000
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 晋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鞭毛 / ダイニン / 微小管 / 振動 |
Research Abstract |
私は鞭毛の波動運動のメカニズムを明らかにするために、その運動の原動力となる最小単位の構造を追求するという試みを行っている。これまでの研究から、鞭毛の特徴である振動的な運動は、鞭毛の中心的骨格の微小管と、滑り運動を行うモーター蛋白質のダイニンのみから発生することが示唆されている。そのことを実証するため、今年度は主に純化された微小管-ダイニンの混合系においてどのような運動が発生し得るかについて検証を行った。 まず、微小管と鞭毛ダイニンを混合することによって微小管上にダイニンを並べ、ここへさらにATPを加えて(Caged-ATPへのUVを照射によるATP添加)、数本の微小管の間で発生する運動を観察した。そうしたところ、鞭毛軸糸の場合と同程度の速い(15〜20μm/s)の滑り運動が見られた。これまでガラス面上でダイニンの滑り速度を調べる実験が良く行われてきたが、その場合は滑りが遅い(1〜5μm/s)ことが知られている。今回の結果は、ダイニンが微小管上に並ぶことがダイニン本来の機能にとって重要であることを示していると思われる。ダイニンが微小管上に並ぶことが、どのようにダイニンの機能に影響を与えるかについては、今後の課題である。 また、鞭毛運動では滑り運動を束縛する固定端の重要性が示唆されているため、微小管を固定端(鞭毛軸糸断片)から伸ばし、そこへダイニンを結合させて運動性を調べる実験も行った。すると稀ではあるが、微小管が結合と解離の振動的な運動を発生することがあった。このことから微小管とダイニンだけの単純な系でも、微小管端の固定によって、ダイニンの一方向性の滑り運動が振動的な運動へと変換され得るということが明らかになった。 今年度の研究から、微小管-ダイニン混合系の運動の特徴をつかむことができた。今後は、微小管とダイニンの結合構造を調べ、運動と構造の関係を明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)