2006 Fiscal Year Annual Research Report
分裂期キナーゼPlk1の新規基質の同定とその機能およびリン酸化の意義の解析
Project/Area Number |
05J12008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
押森 直木 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞分裂 / 紡錘体 / 中心体 / Polo-like kinase 1 / Kizuna / リン酸化 |
Research Abstract |
申請者は、固相リン酸化スクリーニングによるPlk1標的基質の網羅的探索から、複数の基質候補分子を同定し、そのうちKizuna (Kiz)と名付けた新規タンパク質に着目して解析を中心的に進めている。 Kizは細胞周期を通じて中心体に局在し、分裂期においてPlk1の基質となることを見出した。RNAi干渉による実験から、Kiz発現抑制細胞では多極紡錘体が高頻度で現れ、染色体の不均等分配に伴って細胞周期の停止、または細胞死が起こった。中心体構成タンパク質の挙動を詳細に解析したところ、中心体構造の中核をなす中心小体から、本来強固に結合するはずの中心体周辺物質が解離しており、中心体の断片化が起こっていた。この紡錘体極の崩壊には、染色体整列時に生じる微小管を介した力の関与が示唆された。さらに、Kizの379番目のThr残基がPlk1によるリン酸化部位であることを見出した。このKizのリン酸化は、Kizによる紡錘体極の安定化機構に必須であった。一方、Plk1はKiz以外にも中心体成熟に関わる基質をリン酸化するため、Plk1発現抑制細胞では中心体成熟にも異常が見られる。そこで、リン酸化部位のThr残基をGluに置換したリン酸化状態模倣変異体をPlk1発現抑制細胞に導入したところ、中心体成熟の異常にはほとんど影響を与えなかったが、多極紡錘体の出現頻度は有意に低下させた。したがって、Plk1はKizを介して紡錘体極の安定化に寄与しており、紡錘体の二極性を保障していることが明らかとなった。 Plk1によるKizのリン酸化は、Kizと中心体周辺物質との結合を強めることを見出しており、現在、その詳細な分子機構について解析を進めている。また、Kiz結合分子を酵母Two-hybridスクリーニングにより同定しており、それらの分子との関連からKizによる中心体制御の全貌を明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(2 results)