2005 Fiscal Year Annual Research Report
Bub1キナーゼによる動原体因子シュゴシンの機能および局在の分子制御機構
Project/Area Number |
05J12011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 茂裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 染色体分配 / シュゴシン / スピンドルチェックポイント / Aurora B複合体 / Bub1キナーゼ / セントロメア / PP2Aフォスファターゼ |
Research Abstract |
シュゴシンは進化上保存された動原体タンパク質であり、分裂酵母にはSgo1およびSgo2の二つのパラログが存在する。これまでの研究により、Sgo1は減数第一分裂時にセントロメアにおいてコヒーシンRec8をセパレースの分断から保護する役割があり、一方、Sgo2は体細胞分裂と減数分裂の両方の時期においてセントロメアに局在し、正確な染色体分配を行うために重要な役割を持つことが分かっているが、その役割については不明である。そこで、私はSgo2の機能解析を行った。Sgo2の局在化がスピンドルチェックポイント因子として知られるBub1キナーゼに依存していたことから、Sgo2の機能がスピンドルチェックポイントに関わる可能性について検討した。その結果、スピンドル微小管と動原体のattachment(結合)が存在しない条件では、Sgo2はスピンドルチェックポイントの活性化にほとんど必要なかった。しかし、染色体接着欠損によってもたらされたスピンドル微小管のtension(張力)が存在しない条件では、Sgo2はスピンドルチェックポイントの活性化に必須であった。出芽酵母と動物細胞において、Aurora Bキナーゼがtensionを感知するスピンドルチェックポイントの活性化に寄与していることが示唆されていたので、分裂酵母においてAurora B複合体がSgo2の作用経路に働いている可能性を検討した。その結果、Auroa B複合体構成因子のうちヒトSurvivinの分裂酵母ホモログであるcut17変異株において、分裂期におけるSgo2のセントロメア局在が消失することが分かった。一方で、sgo2破壊株において、分裂期におけるCut17およびArk1のセントロメア局在が顕著に減少していることが観察された。続いて、Sgo2とCut17の相互作用をin vitroにおいて検討したところ、それぞれのN末領域を介して2者が結合している可能性が示唆された。以上の結果から、Sgo2はAurora B複合体のうち特にSurvivin(Cut17)と協調し、セントロメアにおいてtensionを感知するスピンドルチェックポイントの活性化に必須の働きを持つことが示唆された。 また、当研究室において、分裂酵母Sgo1と相互作用する因子をツーハイブリッド法によって検索したところ、PP2AホスファターゼのサブユニットであるPar1が得られた。そこで私は、in vivoにおけるSgo1とPar1の相互作用および相互依存性の解析を行った。その結果、Sgo1とPar1は実際にin vivoにおいて相互作用していること、Sgo1とPar1はともに減数第一分裂中期においてセントロメアに共局在すること、および減数第一分裂中期におけるPar1のセントロメア局在はSgo1に依存していることを明らかにした。これらの結果は、シュゴシンSgo1がホスファターゼPP2Aと協調して、減数第一分裂においてセントロメアの接着の保護を維持していることを示唆している。以上の結果は2006年3月15日にNature誌のオンラインに発表された。
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Research Products
(1 results)