2005 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ視覚中枢の形成に必須の因子の網羅的探索と機能解析
Project/Area Number |
05J12035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八杉 徹雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ショウジョウバエ / 視覚中枢 / RNAiスクリーニング / JAK / STATシグナル |
Research Abstract |
神経回路構築メカニズムの解明のため、ショウジョウバエ視覚中枢をモデルとして、その形成に必須の因子を網羅的に探索するRNAiスクリーニングを行った。ショウジョウバエの視覚系は、約750個の個眼と、脳のラミナ、メダラなどの複数の視神経節により構成される。本研究では、視神経細胞軸索の投射先であるラミナ神経節に着目し、ラミナ神経細胞特異的に遺伝子機能を阻害する実験を行った。これまでに約500遺伝子に対するRNAi実験を行い、そのうち103遺伝子において視神経細胞軸索の投射に異常が観察された。 スクリーニングを行った中で、特に興味深い表現型を示したショウジョウバエJAK/STATシグナル経路について、より詳細な機能解析を行った。RNAiにより、ラミナ神経細胞及びその前駆細胞においてStat92Eの機能が阻害されると、視神経軸索の投射異常と共に、ラミナ神経細胞の分化に異常が観察された。Stat92EやJAKのショウジョウバエホモログであるhopscotchの機能欠失変異体も同様の表現型を示した。また、これらの変異体では、視覚中枢の神経細胞を産生する神経幹細胞マーカーの減少が観察された。以上の結果から、JAK/STATシグナルは神経幹細胞の産生またはその維持に働いている可能性が示唆された。また、クローン解析の結果から、JAK/STATシグナルは細胞非自律的にラミナ神経細胞分化に働くことがわかった。現在、JAK/STATシグナルと協調的に働く因子の同定と、神経幹細胞からの分化におけるJAK/STATシグナルの役割の解明に主題をおいて解析を継続している。
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Research Products
(2 results)