2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J12041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 優 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア / ゲノム形質転換法 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは、植物細胞内において呼吸によるエネルギー生産を担う、農業上非常に重要な役割を果たす細胞内小器官である。このミトコンドリアゲノム上に存在する遺伝子の形質転換は将来の植物育種上欠かせない技術となるはずだが、高等植物においては未だその成功例がない。これまでオルガネラゲノムの形質転換は、主にパーティクルガン(遺伝子銃)を用いた方法が行われてきた。しかし、高等植物ミトコンドリアはそのサイズが小さいことが一因となり、この方法を用いたミトコンドリア内への遺伝子導入が不可能であった可能性が考えられる。本研究では、高等植物ミトコンドリアを拡大し、これにパーティクルガンを用いて遺伝子を導入するというアプローチによってミトコンドリアゲノムを形質転換することが目的である。 本年度の研究実施計画に沿って行われた研究により得られた知見を以下に記す。 1.巨大化ミトコンドリアを持つタバコ培養細胞系統の確立 本研究では、タバコ培養細胞におけるミトコンドリア分裂を人為的に制御することにより、通常の3〜5倍に拡大されたミトコンドリアを持つ細胞系統を作出した。 2.ミトコンドリアゲノムに目的遺伝子を導入するためのベクター構築 ミトコンドリアゲノム形質転換体選抜マーカーとして、呼吸阻害剤アンチマイシン耐性となる改変型タバコapocytochrome b(cob)遺伝子を利用した遺伝子導入用ベクターを構築した。 3.形質転換体選抜に用いる薬剤濃度の検討 タバコ培養細胞を用いた生育・生存検定により、10μMのアンチマイシンと1mMのサリチルヒドロキサム酸を同時に用いることで、細胞の生育・生存が完全に阻害されることを明らかにした。 今後は、巨大化ミトコンドリアを持つタバコ培養細胞に対し、実際にパーティクルガンを用いた遺伝子導入処理を行い、上記の条件によりミトコンドリア形質転換体を選抜する予定である。
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