2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的腫瘍マーカーとしての糖鎖タンパク質の網羅的同定
Project/Area Number |
05J12043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 幸嗣 東京大学, 新領域創成科学科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 腫瘍マーカー / 肺癌 / 糖鎖 |
Research Abstract |
本研究は糖鎖構造変化に着目した新規血中腫瘍マーカータンパク質の発見を目的として、平成17年度より当奨励費の助成を得て開始されたものである。 本年度は、今後行われる予定である複数種の糖鎖構造変化を多検体で検証する本スクリーニング実験に先がけて、少数検体、一つの糖鎖構造変化に対象を限定した予備検討実験と構築したスクリーニング系の評価を行った。 テスト用比較サンプルには進行期肺癌患者血清(Stage IIIB or IV)、及び健常人血清各5例を用いた。血中微量成分の検出を可能にする目的で、採取した血清より質量比約90%を占める6種類の多量タンパク質をHPLCとこれらのタンパク質に対する抗体結合カラム(Agilent社)用いて除去した。第一段階として、この状態の精製サンプルの一部を用いて各サンプルに含有される全コアタンパク質自身の血中存在量比を求めた。次にこの精製サンプルをさらに特定の糖鎖構造を認識するレクチンアガロースビーズを用いて濃縮、精製後、同様に定量比較解析を行った。最後にこの2つのパラメータの比率を計算することにより、各種血清タンパク質に対する糖鎖構造の癌性変化率を求めることに成功した。 これら血清タンパク質の定量比較解析と同定には、タンパク質同位体ラベル法とMALDI-QIT-TOF質量分析計(島津製作所)を使用した。 上記肺癌患者血清サンプル5例を用いた解析から、健常者血清との2群では有意差をもって糖鎖構造に変化が認められ、かつMSMS解析により同定に成功した血清タンパク質は、テストサンプル1例につき約90種類であった。 来年度以降、症例数を追加し、上記解析結果の多検体での検証実験と共により大規模なスクリーニングを開始する予定である。
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