2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックメダカの作出と味覚認識・応答の解析
Project/Area Number |
05J12047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藍原 祥子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホスホリパーゼC-β2 / Gα_<i2>機能抑制型変異体 / 味覚シグナル伝達 |
Research Abstract |
我々は有用なモデルであるメダカを用いて脊椎動物共通の味覚系について分子生物学的な研究を行っている。味覚依存的な行動解析系を構築した前年度に引き続き、本年度は、トランスジェニックメダカの摂食行動の変化を検出することでメダカの味覚受容伝達の一端を明らかにすることを試みた。メダカの味覚受容体T1R群はアミノ酸によって活性化され、T2R群の一部はデナトニウムを受容することが明らかになっている。T1R群とT2R群の遺伝子は互いに異なる発現分布を示しながら、どちらもホスホリパーゼC-β2を共発現する。我々はこの分子の味覚シグナル伝達に対する寄与を明らかにするため、まずPLC-β2のプロモーターを用いてGタンパク質の機能抑制型変異体(rat Gα_<i2>S47C)を導入したトランスジェニックメダカを作成した。In situハイブリダイゼーション法を用いた発現解析により、トランスジーンが内在のplc-β2遺伝子と同一の細胞に発現することを確認した。続いて蛍光標識人工餌を用いた摂食行動の解析系に供したところ、アミノ酸と核酸を混ぜ込んだ「好む餌」に対する嗜好性が見られなくなった。一方、哺乳類の苦味物質であるデナトニウムを添加した「好まない餌」を用いて忌避行動を調べた結果、野生型メダカで存在したデナトニウム餌と味物質を含まない餌に対する摂食量に見られた差がトランスジェニックメダカでは見られなかった。以上の結果はplc-β2発現細胞にGα_<i2>S47Cを導入したトランスジェニックメダカにおいて嗜好のシグナル伝達も、忌避のシグナル伝達も阻害されることを示す。従って、メダカにおいても哺乳類と同様にT1RおよびT2Rの下流にGタンパク質を介した系が存在し、両者の味覚シグナル伝達に関与していることが示された。
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Research Products
(1 results)