2005 Fiscal Year Annual Research Report
門脈圧亢進症における、アポトーシスによる血管リモデリングと門脈免疫
Project/Area Number |
05J12072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶田 昌裕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 門脈 / 門脈圧亢進症 / アポトーシス / 血管リモデリング / マクロファージ / LPS / 炎症 / 誘導型NO合成酵素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、腸管と肝臓を繋ぐ門脈組織の免疫応答機構を解明するとともに、門脈圧亢進症時に見られる門脈リモデリングにおけるアポトーシスの関与について解析し門脈圧亢進症の病態を解明することにある。本年度は、門脈圧亢進症モデル動物の作製し、門脈における炎症応答に関与する遺伝子群変動について解析し、エンドトキシン曝露による門脈機能変化について解析した。 (1)門脈圧亢進症モデル動物の作製と門脈における炎症性メディエーターの解析 肝線維症モデルとして8週齢のオスのSDラットを用いて胆管結紮ラットを作製し、結紮後6週後に門脈組織を摘出し、総RNAを抽出した。各種サイトカイン、ならびに炎症性メディエーターのmRNA発現について解析したところ、INFγとiNOSの顕著なmRNA発現増加が認められたが、TNFα、IL-1β、IL-10、TGFβ、VEGF、COX-2のmRNA発現に大きな変動は認められなかった。 (2)摘出門脈におけるLPS誘発iNOS発現と門脈収縮機能の解析 (1)のin vivoでの解析結果の中でiNOS mRNA発現の顕著な増加に着目し、in vitroの系を用いてLPS刺激によるiNOS誘導とその時の門脈収縮機能の変動について解析した。結果、LPS 1μg/ml、3時間刺激により門脈のにiNOS mRNA発現が顕著に増加した。しかし、このLPS曝露した際の収縮応答について解析した所、門脈平滑筋の受容体刺激による収縮はLPS刺激によりほとんど抑制されなかった。一方、摘出腸間膜動脈においては、LPS刺激によりiNOSが誘導され、受容体刺激による収縮は顕著に抑制された。 このように、門脈の収縮機構では、iNOS誘導によって産生されるNOに対する感受性が動脈に比べて低い可能性が示唆された。今後、この差が門脈特有の特性であるのか、その差の分子機構の解析などを通じて、門脈での免疫応答と機能についてさらに解析を進める。
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