2006 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境適応機構における自律神経系機能の役割と意義に関する研究
Project/Area Number |
05J12073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 友浩 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低酸素 / テレメトリー法 / 自律神経 / 心拍変動解析 / ラット |
Research Abstract |
本年度は、低酸素環境におけるin vivoでの自律神経系機能と体温調節との関連性を明らかにするために、酸素10%・窒素90%の低酸素環境における意識下の血圧波形・体温・活動量をテレメトリー法を用いて連続測定した。遮断薬投与のみによる影響に有意差はみられなかった。血圧、心拍数、体温・活動量は低酸素曝露直後より低下したが、これに各遮断薬の影響はみられなかった。その後の心拍数の回復はアトロピン投与によって早くなる一方で、プロプラノロール投与によって心拍数は曝露前の値まで回復するのが非常に遅く、日内変動も非常に小さいままであった。体温では回復後よりコントロール群では日内変動がみられたが、プロプラノロール投与群では暗期において日内変動がみられなかった。以上のことから、低酸素曝露6〜48時間において、副交感神経の亢進していることが示唆され、心拍数の回復を抑制することで、心臓負荷を軽減させていることが考えられた。また、交感神経の回復も示唆され、低酸素曝露6時間以降、特に30時間以降において、交感神経の亢進が心拍数・体温の回復・維持に関与していることが示唆された。また低酸素環境下における日内変動の維持には、通常酸素環境下に比べ、自律神経系機能がより重要であることが示唆された。今後は、末梢化学受容器の求心性神経である大動脈神経・頚動脈神経を切除することによって、末梢化学受容器からの求心性入力が消失した際の低酸素環境における循環器および自律神経系機能の変化について研究することで、低酸素環境適応機構における自律神経系機能の役割と意義がよりはっきりすると考えている。
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Research Products
(1 results)