2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J12076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 啓史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 胎盤 / 栄養膜細胞 / DNA傷害 / アポトーシス / p53 / 細胞周期 |
Research Abstract |
DNA傷害によって生じる胎盤栄養膜細胞のアポトーシス機序を明らかにするため、妊娠13日ラットにDNA傷害性化学物質Cytosine arabinoside(AraC)を腹腔内投与し、経時的に胎盤を採材し各種の検索を行った。ジーンチップを用いて、AraC投与後の胎盤における遺伝子発現を網羅的に解析したところ、癌抑制遺伝子p53によって転写誘導されることが知られている遺伝子p21、cyclinG1の発現上昇が認められた。ウェスタンブロット解析では、p53およびリン酸化p53タンパク質の発現上昇が認められた。また、DNA傷害に際してp53のリン酸化を誘導するリン酸化Chk1のタンパク質発現上昇も認められた。さらに、アポトーシス促進性のp53転写標的遺伝子、noxaとpumaのmRNA発現上昇がRT-PCRで検出された。P53ノックアウトマウスを用いた実験では、p53を欠損した胎盤でAraCによるアポトーシス誘導が強く抑制されることが明らかになった。これらの結果から、Ara-Cに暴露された胎盤において、Chk1およびp53のリン酸化による活性化、次いでその下流のアポトーシス促進遺伝子の発現誘導という一連のDNA傷害反応経路の関与が示された。 DNA傷害の胎児への影響について検討するため、AraCに暴露されたラットおよびマウス胎児中枢神経を対象として、flow cytometerを用いた細胞周期解析を行った。その結果、AraCにより胎児終脳の神経上皮細胞にアポトーシス、および細胞周期のS期停止が誘導されることが明らかになった。また、p53ノックアウトマウスを用いた実験から、神経上皮細胞のアポトーシスはp53依存性であること、S期停止はp53非依存性であることが示された。
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Research Products
(3 results)