2007 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物におけるmRNA分解の負の制御とその抑制解除の分子機構の解明
Project/Area Number |
05J12094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小藤 智史 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | mRNA分解 |
Research Abstract |
細胞内環境の恒常性の維持機構の一つにmRNA分解が考えられる。これまでmRNA分解は細胞に対して毒性をもつと考えられる未成熟な蛋白質生成の抑制や、不要もしくは余剰のものに対して行われると考えられてきた。しかし、mRNA分解という反応の制御の詳細なメカニズムには、翻訳反応と分解の関係、分解の抑制など明らかにすべき点が多く残されている。 先に私は、mRNA分解の過程で律速段階となる反応、キャップ構造の除去を行う脱キャップ酵素Dcp1が翻訳終結因子であるeRF3と相互作用することを見出した。この相互作用の意義を、Dcp1の欠失変異体及び様々な点変異体を用いた実験により検証したところ、Dcp1がeRF3と相互作用することで、効率のよい翻訳終結反応に関与することを明らかにした。本年度は、この詳細な分子メカニズムに対して検討を行った。脱キャップ反応はDcp1とDcp2という2つのタンパク質の複合体から担われている。このDcp2の欠失変異体を作製したところ、Dcp1同様翻訳終結反応の効率の低下が見られた。さらに、Dcp2欠失変異体では、eRF3の大部分が不溶性画分に移行した。以上のことから、Dcp2はeRF3の生化学的特性に何らかの影響を与える可能性が示唆された。今後は、この影響についてDcp1との関係も含め検討を加えていく必要がある。
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