2007 Fiscal Year Annual Research Report
リゾホスファチジン酸産生酵素リゾホスホリパーゼDの個体レベルにおける機能解析
Project/Area Number |
05J12099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 将之 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / 血管新生 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
LPAが血管新生に関わる分子メカニズムを明らかにするため、血管内皮由来培養細胞であるHUVECを用いて解析を行った。単層培養したHUVECをLPAで刺激した後の形態変化をタイムラプス観察したところ、血清中に存在すると考えられる数百nMのレベルで血管内皮細胞同士が速やかに解離することがわかり、LPAは内皮細胞間の接着を弱める作用を有するものと考えられた。血管内皮細胞間の接着にはvascular endothelial(VE)-cadherinが重要であるが、興味深いことに、VE-cadherinノックアウトマウスはATXノックアウトマウスとほぼ同じ表現型を示して致死となる。そこでHUVECをLPA刺激し、VE-cadherinの局在を調べたところ、通常は内皮細胞間接着部位に局在するVE-cadherinが、細胞間接着部位以外の場所へ移行することがわかった。また、VE-cadherinの細胞外ドメインをコートしたプレートへのHUVECの接着が、LPA存在下で有意に抑制された。以上の結果から、LPAは血管内皮細胞のVE-cadherinを介した細胞間接着を負に制御することが明らかとなった。 次に、このLPAの効果がどのようなシグナル経路を介して発揮されるのかに関して、各種阻害剤を用いた検討を行った。その結果、LPAのVE-cadherin接着抑制効果はGi阻害剤の百日咳毒素では阻害されず、ROCK阻害剤のY27632によって阻害された。従って、この効果はROCK経路を介して発揮されることがわかった。 ROCKはG_<12/13>経路で活性化を抑制し、ミオシンのリン酸化体を増加させることにより、アクチンストスファイバー形成を促進させると言われている。そこで、LPA刺激したHUVECにおけるアクチン構造をファロイジンにより染色した。その結果、LPA刺激により、細胞の端から端へ伸びるアクチンストレスファイパーの形成が促進されることがわかった。また、この作用はROCK阻害剤Y27632の前処理により抑制されることが確認された。
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Research Products
(5 results)