2005 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモンの脳内への輸送機構の解明及び甲状腺疾患と輸送機構との関連の考察
Project/Area Number |
05J12100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠山 季美夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トランスポーター / 血液脳関門 / 甲状腺ホルモン / Oatp1c1 / Oatp14 / T4 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
甲状腺ホルモン(TH)は身体の代謝の調節、脳・神経系の分化・発達・機能維持に重要な働きをしている。血中のTHは甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンや甲状腺刺激ホルモンと協調することでその血中濃度が厳密に制御されている。血液中にはプロホルモンとなるT4のほか、T3が存在するが、脳へはT4として供給され、脳内でT3へと変換されると考えられている。 私はin situ脳灌流法を用いて、T4の脳内への取り込みに一部有機アニオントランスポーター(Oatp1c1)が関与していることを見出した。Oatp1c1の発生段階での発現変動を定量的PCR法により測定したところ、発生初期では発現しておらず、周産期に発現量の増加していること、また、その発現量は成熟期まで維持されていることを明らかにした。生理的な重要性を明らかにするために、Oatp1c1のノックアウトマウスの作出を行ってきた。開始コドンを含むエキソン2からエキソン3をIRES-lacZ/MC1neoカセットに置換することによりOatp1c1のノックアウトを行い、現在、129系マウス由来のキメラマウスの作成が終了しており、C57BL6への戻し交配を開始している。表現型の解析については、戻し交配過程でホモ作出を行っており、甲状腺ホルモンであるチロキシン(T4)の脳内への取り込みが有意に減少(約30%)していることが明らかになった。Oatp1c1は一部有機アニオンを基質とするが、有機アニオン(E_217βG、pitavastatin)の脳取り込みには変動が見られなかった。この中枢への甲状腺ホルモンの取り込みの減少が生理的にどのような影響を及ぼすかについて、現在血中の甲状腺ホルモン濃度や脳内の甲状腺ホルモン濃度の測定を行っている。
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Research Products
(1 results)