2005 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアにおける光合成と窒素代謝間のクロストーク機構の解明
Project/Area Number |
05J12123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 華代 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 栄養欠乏 / シアノバクテリア / 植物生理学 / 強光応答 / 光アンテナ装置 / 光化学系 / 窒素同化 / クロストーク |
Research Abstract |
本研究では、これまでシアノバクテリアSynecocystis sp. PCC 6803においてSll1961という因子が光合成の電子伝達の調節応答である光化学系量比調節と窒素欠乏時の応答であるフィコビリソームの分解の両方に関与することを明らかにした。この事は、光合成の調節に関与する因子が窒素代謝の調節にも関与する可能性、また逆に窒素代謝に関与する因子が光合成の調節にも関与する可能性を示した。本年度は、フィコビリソーム分解に関与することが既に明らかにされているNblAが光化学系量比調節に関与するかどうかを調べた。NblAはフィコビリソームの分解、つまり窒素代謝の制御に関与することが明らかにされているが、光合成への調節については報告がなかった。そこで、Sll1961と同様、NbAがフィコビリソームの分解に加えて、光化学系量比の調節にも関与している可能性を検証した。通常、シアノバクテリアは強光にさらすと過剰な電子伝達によって活性酸素を発生すため、これを回避するため光化学系量比を調節し、より効率的な電子伝達を行なう。そこで、nblA欠損株を光化学系量比の調節応答が必要となる強光条件にさらし、適切な光化学系量比の調節が起こっているのかを観察した。nblA欠損株では光化学系量比は調節されておらず、NblAが強光時の光化学系量比調節に関与することが明らかになった。この結果によって、Sll1961に続いてNblAも光合成の調節と窒素代謝の調節の両方に関与する、言い換えればこれら両代謝のクロストークに関与する因子であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)