2006 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアにおける光合成と窒素代謝間のクロストーク機構の解明
Project/Area Number |
05J12123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 華代 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シノアバクテリア / 光合成 / 窒素代謝 / クロストーク / 分子生物学 |
Research Abstract |
生物は連鎖する代謝を常に共調節する必要がある。光合成生物においては光合成産物とそれに続く炭素代謝、窒素代謝は相互調節されている。しかしながらその機構についてはあまりよく分かっていない。 私は、強光時に起こる光合成装置の応答の一つである光化学系量比の調節を担う因子であるSll1961が窒素欠乏時の他の応答にも関与する事を明らかにした。窒素貯蔵の役割も持つ集光アンテナフィコビリソームは窒素欠乏時に分解される。この応答にはnblAの発現の上昇が必須だと考えられてきたが、sll1961変異株ではnblAの発現には欠損を示さなかった。一方nblA変異株ではsll1961の発現が野生株よりも少ない事が分かった。これらの結果により、NblAはSll1961の上流に位置している可能性が示された。そこでこの可能性を検証するため、nblA変異株にsll1961を強制的に発現させれば表現型は回復するかどうか観察した。しかしながら、sll1961の強制発現によってもnblA変異株は窒素欠乏時にフィコビリソームの分解に欠損を示した。この結果から、sll1961とnblAは両方が窒素欠乏時に発現している事がフィコビリソーム分解に重要である事が示された。 また、私はNblAがSll1961同様、強光時には光化学系量比の調節に関与する事も明らかにした。これによって、光合成と窒素代謝に重要な異なる二つの応答機構に同じ因子が関わっている事が示唆された。
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